第1回ではRaspbianのインストールからsshでのログイン環境までまとめましたが、HDMI接続のモニターを利用していました。でも小さいRasPiに大きなモニターやTVを接続して利用するのも勿体ない気がしますし、組み込みを考えると小さなモニターが欲しくなりますよね?私もロボットへの組み込みを考えているので3~7インチ程度のLCDモニターを色々買って試してみました。ほとんどAmazonで買っています。
ちょっと試しにAmazonでキーワード
「raspberry pi LCD」で
検索してみると、775件がヒットします。まぁ色々あるものですねw 今回はそのうち4種類についてまとめます。ちなみにRasPiへのLCD接続方法は大きく分けて以下の3種類があります。
タイプA)HDMI接続のLCDモニター(標準)
タイプB)GPIO接続のLCDモニター(独自)
タイプC)DSI接続のLCDモニター(公式)
困ったことにそれぞれ一長一短があります。つまりどれを選ぶのかは用途や好みの問題となります。私が買ったのは以下の4つです。金額は今日現在のもの。いずれもタッチ対応のLCDモニターです。
1)7インチLCD:RasPi公式:DSI接続:静電容量式:10,200円
2)5インチLCD:cocopar:HDMI接続:感圧式:5,800円
3)4インチLCD:cocopar:GPIO接続:感圧式:2,999円
4)3.5インチLCD:OSOYOO:HDMI接続:感圧式:2,980円
では順番に見ていきます。
1)RasPi公式 DSI接続 7インチLCD
DSIはRasPi基盤上にある専用コネクタを利用する接続方式です。私は今のところこの公式7インチ以外ではこの接続を使うLCDは見たことがありません。DSI接続のメリットはGPIOのコネクタを使わないので、I2Cやセンサーを使うことが可能だと言うことです。またさすが公式だけあってRaspbianをインストールするだけで他にドライバ等を入れなくてもあっさり動作します。解像度は 800x480 です。これだけあれば通常の利用で不都合はありません。ただ公式のスタンドは上下が逆になるのでconfig.txtに上下逆転の設定が必要です。
$ sudo vi /boot/config.txt
以下の1行を最後に追加します。
lcd_rotate=2
リブートすれば上下逆に表示されます。タッチもスマホなんかと同じ静電容量方式なので指で操作できます。リボンケーブルの接続が少し面倒ですがRaspbianが標準のままと言うのは大きなメリットです。7インチは少し大きいですしややお高いですが、GPIOも全て利用可能(5V/GND各1つを除く)なので推奨できます。やはり公式がベストですね。ただ安定し過ぎていてつまらない…とも言えます(笑
2)cocopar HDMI接続 5インチLCD
cocopar製のLCDモニターはAmazonでは多数表示されます。LCD自体はほぼWaveShare製を利用しています。HDMI接続とGPIO接続の大きく分けて2種類が提供されています。この5インチはHDMI接続となります。HDMI接続のLCDモニターにはたいてい「コの字型」のHDMI折り返しアダプタが付属していてHDMIケーブルは不要(RasPi Zero除く)です。値段も安いし種類も多いので目につきやすいのですが、正直私はcocopar製はお勧めしません。解像度は 800x480 です。これも通常の利用であれば不都合はありません。
別途提供されているOSイメージを利用すればタッチも動作するのですが、そのOSイメージを $ sudo apt-get update と $ sudo apt-get upgrade で最新にするとタッチ機能が動作しなくなってしまいました。また
ドライバも提供されているのですが、私の環境では起動時にPanicになりどうしてもドライバだけのインストールが成功しません。
HDMI接続なのでLCDへの表示自体は問題ありませんので、現在は自宅の表示専用モニターとして利用しています。つまりタッチ機能を使うことは諦めました。ちなみにcocopar製の5インチは新型が既に出ています。新しい分だけまだ
こちらの方が良さそうです。
3)cocopar GPIO接続 4インチLCD
5インチでcocopar製はお勧めしないと書きましたが、HDMI接続なら表示は大丈夫です。しかしGPIO接続だと提供されたOSイメージでしか表示もできません。また私は「はずれ」に当たったみたいで、提供されたOSイメージを使ってもタッチ機能が使えませんでした。と言うことはGPIO接続のこの4インチLCDモニターはお蔵入りで使っていません。GPIO接続だとGPIOの利用もできないのでIoT用途でセンサー等も使えませんので、その意味でもお勧めできません。
解像度は 480x320 ですが、これだと正直デスクトップの利用は厳しいです。設定ダイアログが画面に入りきらず「OK」ボタンが押せません。自分でRaspbianのインストールもできませんし…最後にコメントすると…「これはやめとけ」です(笑
4)OSOYOO HDMI接続 3.5インチLCD
このLCDモニタはちょっと変わっています。ネイティブな解像度は 480x320 ですが仮想解像度は 1920x1080 まで対応しています。もちろん 1920x1080 では文字の判別もできませんが、例えばムービーを見る場合等ではそのまま表示されるので動画プレーヤーを作るなら良いですね。またマウス操作は 1920x1080 でもギリギリ可能ですが文字は読めないので何が表示されているのか分かっている必要があります。なおサイズはRasPi 3/RasPi 2Bの本体とほぼ同じ大きさなので一体感がありマウントもやりやすいように思えます。
そしてドライバはOSOYOOから出ているもので、NOOBSインストールしたRaspbianに何の問題も無くインストール出来ました。更に $ sudo apt-get update と $ sudo apt-get upgrade で最新にしても大丈夫でした。と言うことで公式7インチを除けば、このOSOYOOの3.5インチLCDモニタはお勧めです。HDMI接続なのでドライバ無しでも使える点もポイントが高いです。更にGPIOも全ては使っていないのでセンサーやI2C接続もできそうですので、組み込みにも向いています。なおタッチは圧電方式なので過度な期待は禁物で何とか使えると言う程度となります…がこれはcocopar製でも同じなのでマイナス点にはなりません。個人的には解像度 720x480 で使っています。これだとギリギリ設定ダイアログのボタンも押せる状況です。
○結論
7インチの大きさで良いなら悩まずDSI接続の公式7インチLCDモニタを買うべきです。小さいLCDモニタが必要なら私の経験からはOSOYOOの3.5インチLCDモニタがお勧めとなります。cocopar製は避けた方が無難です。GPIO接続はGPIOコネクタを塞いでしまうしドライバも安定しないし描画も遅いのでお勧めしません。買うならDSIかHDMI接続にしましょう。
最近はAmazonで買えるLCDモニターが多数あります。そのほとんどは中国製ですが結構サポートはいい加減だったりします。半分ジャンク品だと思って買えば、動作しない場合にも諦めがつきます。動作しない場合いは送り返して払い戻しを受けましょう。
○OSOYOOの3.5インチLCDモニタのドライバインストール
最後にLCDモニタのドライバインストールの例として、OSOYOOの3.5インチLCDモニタへのドライバインストール手順を説明します。なお詳しくは
OSOYOOの説明サイトを見てください。
1:ドライバの入手
ここからドライバファイル LCD_show_35hdmi.tar.gz を入手します。Raspbian標準のブラウザでURLを指定すれば /home/pi/Downloads の下にダウンロードされます。
2:ドライバの解凍とインストール
// 以下のコマンドで解凍します。
$ tar xvfz LCD_show_35hdmi.tar.gz
// インストールします
$ cd LCD_show_35hdmi
$ sudo ./LCD35_720\*480
// 自動的に再起動され反映される
WaveShareのドライバ類も基本的に tar.gz ファイルをダウンロードして解凍後に設定スクリプトを実行する手順は同じです。ダウンロードは
ここから。と言うあたりで第2回も終了です。それでは次回「次回は「第3回:RasPiでRails動作とFireWall設定」をお楽しみに!
第1回:Raspbianのセットアップ手順
第2回:Amazonで買えるミニLCDの選択
第3回:RasPiでRails動作とFireWall設定
第4回:RasPiのI2Cでサーボモーターを動かす
今日はここまで。