Raspberry Pi(以後、RasPi)は皆様ご存じのようにIoT向けの小さなLinux環境を提供するミニPCです。LinuxはDebianベースのRaspbian(使い方はほぼDebian)ですが、IoT向けと言うことで色々拡張することが多くセットアップやLCD選択も一筋縄では行きません。と言うことで以下までのノウハウを残しておこうと言うことでとりま4回を予定しています。なおRaspbianのバージョンは現時点での最新である、2.1~2.3で動作確認した結果となります。また動作確認したRasPiは、RasPi 3/RasPi 2B/RasPi Zeroの3種類です。
第1回:Raspbianのセットアップ手順
第2回:Amazonで買えるミニLCDの選択
第3回:RasPiでRails動作とFireWall設定
第4回:RasPiのI2Cでサーボモーターを動かす
では第1回と言うことで、Raspbianをインストールしてsshでリモートログインするまでを以下簡単にまとめます。
RasPiのOSであるRaspbianには幾つかインストールする方法があります。
公式サイトのダウンロードでは大きく分けて以下の2種類があります。
1)NOOBSインストーラーを使う:初心者向け
2)直接インストール:上級者向け
ええ。私は初心者ですのでここではNOOBSによるインストール手順を利用しています。またインストールするRaspbianの種類も以下の2種類に分かれます。
A)NOOBS:Raspbian Jessie with PIXEL(フル機能)
B)NOOBS LITE:Raspbian Jessie Lite(最小構成)
初心者はとりあえずフル機能版を利用しましょう。なのでここではNOOBSのフル機能版についてのインストール手順を説明して行きます。なお公式サイトでは最新バージョンしかダウンロードできません。過去バージョンが欲しい時もあると思いますが、その時は北陸先端科学技術大学院大学のFTPサイトにRaspbianの過去リリースも含めて保管してあるのでありがたく利用させて頂きましょう。
北陸先端科学技術大学院大学Raspbianイメージ
Raspbianのインストール方法としては他にOSイメージファイル(.img)で配布されているものをSDカードに複製コピーして利用する方法もあります。GPIOを使ったLCDのベンダーだとこの提供方法が多いですね。ただこの方法では古いRaspbianだったりアップデートが出来なかったりとセキュリティ面で少し不安を覚えますので私はよほどの理由が無い限り選択しません。やはり基本はRaspbianのインストールを行うことで、複製コピーは好きではありません。
○インストール用SDカードの準備
前ふりが長くなりすみません。それではまずNOOBSのフル機能版のZIPファイルをまずはダウンロードして来てください。最新版は
ここです。1.4ギガバイトくらいありますのでご注意ください。ダウンロードが完了したらZIPファイルを解凍すれば準備完了です。
次にSDカードを用意します。最低8ギガバイトのSDカードが必要ですが16ギガバイト程度あった方が良いと思います。お金にゆとりがあれば32ギガバイトで(笑 SDカードをPCにセットしてフォルダを開きます。開いたらダウンロードして解凍済みのNOOBSの中を全てSDカードにコピーして取り出します。
○NOOBSのインストール作業
SDカードをRasPiにSDカードをセットして電源(マイクロUSB)を接続します。RasPiはHDMIでモニターに接続しマウスとキーボードをUSB接続しておきます。RasPi 3はWiFi内蔵ですが、RasPi 2BやZeroはWiFiのUSBアダプタも接続しておきます。WiFiのUSBアダプタはPLANEXの無線LAN子機
「GW-USNANO2A」が使っていて熱くならず、Raspbian標準で認識もするのでお勧めです。BUFFALOでも似たアダプタがありますが使っていると熱くなると言う情報がありPLANEXの方が良いようです。ですがこれは各自判断と言うことで。
NOOBSの初期画面が表示されたら言語を「日本語」に変更し、SDカードを選択して「Install」を実行します。数十分かかって完了すると再起動のダイアログが表示され、「OK」をクリックして再起動すればRaspbianのデスクトップが表示されてインストール完了です。標準ではユーザ「pi」でログインされます。簡単ですね(^^;
○固定IPアドレスの設定
起動して暫く待つと、デスクトップ右上のアイコンからWiFiのアクセスポイントが確認できるはずです。お使いのWiFiルーターに接続してください。アイコンがWiFiマークになれば接続完了です。接続設定のパスワード等は保存されるので次回起動からは自動接続されるようになります。
同じくデスクトップ左上にある「ターミナル」アイコンをクリックしてCUIのターミナルを開きます。以後はLinuxのシェル環境での操作となります。最初はDHCPでIPアドレスが振られているはずですので、まず ifconfig コマンドで自分のIPアドレスを確認します。例えば 192.168.11.3 のようになっているはずです。これを 192.168.11.200 の固定IPアドレスに変更します。以下コマンド例は vi を使っていますが nano でも構いません。
$ sudo vi /etc/dhcpcd.conf
画面が開いたら最後に以下を追加します。informの後に設定したい固定IPアドレスを指定します。
# my fixed address
inform 192.168.11.200
これで再起動して再度 ifconfig コマンドでIPアドレスを確認してください。192.168.11.200 になっていればOKです。
○sshログインの設定
sshのデーモンを設定します。GUIならメニューの[Preference]-[Raspberry Pi Configuration]または[設定]-[Raspberry Piの設定]から「Interfaces」タブでsshをONにします。CUIなら $ sudo raspi-config でメニューを表示して、[8 Advanced Options]-[A4 SSH]からsshを「Enable」にします。設定後に再起動されるはずです。起動したら標準ユーザーの「pi」の標準パスワード「raspberry」だと警告が出るので変更しておきます。CUIなら $ passwd コマンドで変更できます。これで外部からパスワード接続のsshでRasPiにユーザー「pi」でリモートログインできるはずです。例えば $ ssh
[email protected] でログインします。TeraTerm等でも大丈夫です。
後は通常のLinuxでsshログイン設定をする手順と同じです。以下手順だけ記載します。最初が // になっている行はコメントです。
// ssh用の公開鍵のセット
$ cd
$ mkdir .ssh
$ chmod 700 .ssh
$ cd .ssh
$ vi authorized_keys
// 自分のssh用公開鍵をセットする
$ chmod 600 authorized_keys
これで公開鍵を使ってssh接続できるようになったはずですので確認します。最後にsshd_configを修正しておきます。
$ cd /etc/ssh
$ sudo vi sshd_config
// 以下2行を追加する
PasswordAuthentication no
ClientAliveInterval 30
追加したら以下でsshdをリスタートします。
$ sudo service ssh restart
$ sudo service ssh status
2行目のステータス確認は必ず行っておきましょう。sshd_configの編集時にタイプミス等があるとエラーになってリモートログインが出来なくなります。
○Raspbianのアップデート
ここまででRaspbianのインストール作業自体は完了です。最後にRaspbianをアップデートして最新にしておきましょう。update/upgradeでかなり時間がかかりますのでご注意を。
$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get upgrade
エラー無く完了すれば最新のRaspbianインストールが完了したことになります。お疲れ様でした。今日はここまでとなります。それでは次回「第2回:Amazonで買えるミニLCDの選択」をお楽しみに!(誰も待ってないよw)