必要があってラング・エッジの商業登記証明書を再取得しました。一昨年一度取得していたのですが有効期限が切れていたので再取得しました。その取得までの手順を参考までに簡単にまとめましょう。
その前に
商業登記証明書とは何?と言う方もいらっしゃるでしょうから簡単に説明を。電子署名書には発行元によって幾つかの種類に分類できます。まずWindowsのIEに入っているルート証明書は
「Microsoftルート証明書プログラム」と言うものです。これは何もしなくてWindows環境なら信頼されるルート証明書です。後述するGPKIやLGPKIのルート証明書も最近この中に入っているそうです。次に
GPKIや
LGPKIのように政府系の認証局が発行した証明書があります。これらは基本的には民間には発行されず政府職員や地方行政団体職員向けの証明書です。しかし政府系の入札等では民間側の証明書が必要になります。通常は電子署名法の
特定認証局が発行した証明書であればブリッジ認証局によってGPKIと相互認証された証明書を取得できます。しかし特定認証局の証明書発行には個人の住民票等手続きが比較的大変です。
そこで日本で特定認証局の証明書と同等に扱われる事が多い
商業登記証明書です。商業登記証明書とは法人登記している法人代表者向けに
法務局が発行してくれる証明書です。商業登記証明書もブリッジ認証局経由でGPKIとも相互認証されます。商業登記の内容により資格審査が完了しているので、法人であれば印鑑登録している代表印と印鑑カードを使えば簡単に取得できるメリットがあります。ただし事前に取得が必要な書類は無いものの、証明書取得には申請データファイルを作成したりネット経由で証明書を取得したりするソフト的な手続きが必要で
あり、対応したソフトを購入する必要がある点は面倒なところです。
商業登記証明書は法人登記により代表者向けに発行されますので、大企業よりもラング・エッジのような零細企業の方が取得は楽かもしれません(笑) 大企業だと1つの証明書を複数の部門で使うのは不便そうだと思いましたが、良く
Q&Aを読むと公開鍵ペアが異なるのであれば1社で複数の商業登記証明書を取得できるそうです。法人代表者に発行されると言う意味で契約書等への署名では会社の
「代表印」と同等に扱われる事が多いようです。電子申請等でも使えますので1つ取得をしておいても良い証明書では無いでしょうか。
それでは今回の取得に関する顛末をまとめます。興味がありましたら
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[2011-05-25追記]
取得手順に関しては、フリーにて法務省が提供する専用ソフトウェアが利用可能になったので
「電子証明書取得のご案内」をご覧になると分かりやすいです。
まず会社の代表印と印鑑カードが必要です。更に申請書を入力する時に間違いが無いように登記簿謄本等があると便利です。他にも1つ必要な物がありますがそれは後述。
0) 前準備
先に書いたように申請データを作成し発行された証明書をネット経由で取得する為の専用ソフトが必要です。
実はこれらの仕様は公開されていますので弊社なら頑張れば自分でも対応ソフトが作成できそうです。ですがここは実績がある専用ソフトのどれかを購入しましょう。私は安いと言う理由でNTTデータの「商業登記電子証明書取得ソフトウェア」を使っています。ただどれでも基本的には同じです。この専用ソフトはパソコンショップで売っている物では無いので購入して手元に届くまで時間がかかります。これが商業登記証明書取得で一番時間がかかる手順かもしれません(笑) 専用ソフトが届いたらPCにインストールしておきましょう。
[2011-05-25追記]
法務省からフリーの申請ソフト「商業登記電子認証ソフト」が
ダウンロードできるようになったようです。
1) 公開鍵ペアの生成
商業登記証明書では申請者側で公開鍵と秘密鍵のペアを作成する仕組みです。特定認証局の証明書だと認証局側で公開鍵ペアを作成して送ってくれるケースが多いようです。専用ソフトの指示に従って公開鍵ペアを作成して下さい。この時にもしRSAの鍵長が1024bitと2048bitで選択できるようなら
2048bitにしておくべきでしょう。なおICカード等にこの鍵を入れるとしたら1024bitじゃ無いと駄目かもしれません。この辺りは用途により判断して下さい。ペアなのでファイルは公開鍵ファイルと秘密鍵ファイルの2つ出来ます。なお秘密鍵のパスワードが必要になります。パスワードは忘れないように注意しましょう。
2) 申請ファイルの作成、その前に
次に自分の情報を入力して申請ファイルを作成します。この手順で必要な物が1つあります。それはFD(フロッピーディスク)です!今時FDなんて… と言うのは分かりますが現時点ではFDでのみ申請ファイルを受け付けているので仕方がありません。またFDが使えるパソコンも必要ですね。ちなみに事務所の近くにあるセブンイレブンでチェックしたところ3枚入りのFDが284円で売っていました。意外にコンビニではまだFDを売っているようです。買ってきたFDはパソコンでフォーマットしておきましょう。なおFD以外への対応も検討はしているとの事でした。最近だったらCD-Rの方が便利ですよね。
[2010-09-03追記]
現在では
CD-Rでも
受け付けてくれます。
3) 今度こそ申請ファイルの作成
専用ツールで申請ファイルの作成を選択すると入力画面が開かれるはずです。項目は見れば分かると思いますので注意点のみ。
注意1:住所は登記している内容のままで番地等の省略はしないこと
注意2:商号のローマ字表記は英語名では無いので注意
今回実は2つ目のローマ字表記で失敗してしまいました。前回商業登記証明書を取得した時には英語表記
「LangEdge, Inc.」で文句も無かったのですが、法務局で今回は駄目と言われてしまいました。ローマ字なので
「YUGENKAISHA RANGUEEZI」と書かねばならないようです。これはうちのように英語表記がベースの商号だと嫌ですよね。なお商号のローマ字表記はオプションなので今回は省略して貰いました。前回はチェックが甘かっただけのようです。あと証明書の有効期間も3ヶ月単位で最長27ヶ月までで指定が必要です。期間によって手数料も異なります。今回は2年の24ヶ月(手数料15,100円)としました。先に作成した公開鍵ファイルと秘密鍵ファイル(要パスワード)を指定すれば申請ファイル
「SHINSEI」の完成です。出来た申請ファイルを
FDCD-Rにコピーすれば完了です。
FDCD-Rに入れるのは
「SHINSEI」ファイルだけで構いません。
4) 電子証明書発行申請書の用意
窓口には手数料金分の登記印紙を貼り代表印を押印した
電子証明書発行申請書が必要です。元ファイルが
ダウンロード出来ます。
一太郎、
Word、
PDFの3種類が用意されています。一太郎ってまだこういうところでは生き残っているんですね。なお法人代表者では無く代理人が申請に行く場合には同じサイトで委任状も入手しておきましょう。今回は代表者である私が申請に行くので委任状に関しては省略します。会社法人番号の入力欄がありますので登記簿謄本等があると便利でしょう。証明期間も先の申請ファイルでもありましたが同じ期間を指定します。住所も申請ファイルと同じく番地等の省略は不可ですのでご注意を。全て入力したら印刷して代表印を押印します。これで事前準備は完了です。
5) 法務局で申請
ラング・エッジは千代田区にあるので提出先は九段下にある
東京法務局です。どこの法務局になるかはこちらで
チェックしましょう。行く前に再度必要な物を確認しましょう。3)で作成した申請ファイルが入った
FDCD-R1枚、4)で作成した電子証明書発行申請書、それに印鑑カードの3つが必要です。法務局に着いたらまずは登記印紙を必要な手数料分購入して貼っておきましょう。次に混雑している登記簿謄本等の窓口では無く電子認証の窓口があるはずですのでそこに先の3つを提出して待ちます。問題が無ければおそらく10分程度で
「電子証明書発行確認表」と言う紙をくれるはずです。これで窓口での作業はおしまい!簡単です(^^; 前回はFDは返してくれた気がしていたのですが今回は返してくれませんでした。まあ良いですが。
6) 証明書をネット経由で取得する
入手した
「電子証明書発行確認表」を持って事務所に戻り再度専用ソフトを起動します。証明書の入手と言う手順があるはずですので実行します。その際に
「電子証明書発行確認表」に書かれている
シリアル番号が必要です。またフレンドリー名の入力もあるかもしれません。フレンドリー名は証明書ストアで表示される名称ですので適当に「LangEdge商業登記証明書」とか付けましょう。エラーが無ければPKCS#12形式の証明書+秘密鍵のファイルが入手できるはずです。PKCS#12のパスワード指定をするはずですので忘れないようにしましょう。なお証明書の取得は有効期間中なら何度でも可能とのことです。これで商業登記証明書の取得は完了です!参考になりましたでしょうか?