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2005-12-22
プロに求められるもの [by miyachi]
まずは以下の日経のページをお読み下さい。私は
野尻ボードで最初にこの記事を知り読みました。
NET EYE プロの視点「研究の失敗に寛容な風土はできるか」
次に松浦さんのブログを読みましょう。
「はやぶさリンク」:日経新聞・清水正巳編集委員の記事に関して
さて皆さんはどう思われたでしょう。私的にはやれやれである。ほんの2週間前に中冨某氏の新聞コメントに対して書いた
「期待を裏切らないコメント(勘弁してよ…)」を書いてばかりで、松浦さんのブログを読む前から「これもブログで書いた方が良いかな…」と考えていましたが、松浦さんが束ねて下さるので余計に書いた方が良いと思いました。ただおおむね言いたい事は松浦さんがまとめられているので少し視点を変えて(あんまり変わりませんが)書きたいと思います。
まず笑ってしまうのが日経新聞のコーナー名です。
「プロの視点」です。すみません清水氏は何のプロなんでしょうか?略歴を見ると日経サイエンス編集長もされていたようなので科学技術畑のプロですか?ただ宇宙開発に関しては「成功か失敗か判断が出来ない」と書いている時点で
「宇宙開発のプロでは無い」と言えるのでは無いでしょうか。
判断が出来ないのは情報が足りないからでしょうか。でも日経も取材なさっていたんですよね?それでも情報が足りないとしたらそれは問題なので指摘すべきでしょう。でも中冨某氏と同じで清水氏も川口プロマネの最初から提示している情報を読んでいないのは明白に思えます。両氏共に
プロなんですよね?本当に?
宇宙開発では目標を明確にして確実にそれを実行する技術が求められる。故障しても修理に駆けつけられるわけでもないし、指令を送っても時間がかかるから高度な技術も必要になる。信頼性を重視するのはそのため
ここまでのコメントには同意しましょう。でも何故その後が、
だが、その思想がない探査機ではいい加減な成果でよいということなのだろうか。安い開発費では目標を達成できないというのであれば、失敗しないだけの開発資金を要求すればよかったではないか。
になっているのは同意できません。「はやぶさ」にその思想が無かった根拠を示して頂きたい。宇宙開発はギリギリの設計にしないといけない。だから他の開発に比べると失敗する確率は1桁以上大きいと言えます。過剰な冗長度を持たせる事は難しいのです。結果として「はやぶさ」は困難な状況に陥っている事実はあります。そこは原因をきちんと究明すべきでしょう。でも最初からその思想が無かったとまで言い切る事は本当に可能なのでしょうか?部外者の勝手な意見としては可能でしょうね。
同じく部外者だから言えるのは開発資金を要求すればよかったではないかという言い方です。そりゃ予算は要求しているでしょう。でもどちらかと言えば減らされる事はあっても増額される事はまず無いのが日本の現状でしょう。プロの記者とおっしゃるならなぜ多額の予算が「はやぶさ」プロジェクトに投入されないかその図式を明確にして欲しいものです。単に要求していないからなんですか?
研究の管理や成果の評価はしっかりしなければならない。だが、志の高い研究には失敗しても研究費を惜しげもなく注ぎ込む度量も必要だ。総合科学技術会議は研究の善し悪しを見抜く力が一層求められる。
清水氏は最後にこう結んでいます。私は「はやぶさ」プロジェクトは非常に志の高い研究だと考えていました。2chをはじめとする一般の意見も同じ評価では無いでしょうか。私もこう結びましょう。
プロの科学技術畑の記者にはプロジェクトや技術の善し悪しを見抜く力が一層求められる。 さてあなたはどう思われますか。
宇宙関連の話題でも(またかよ!) [by miyachi]
サイエンスZEROの再放送…録画しそこなった…orz 水曜日の24時からって火曜日の夜日付が変わった直後の24時だったのね(泣) 火曜日の夜12時過ぎてから何気に3chに変えると川口プロマネのお顔があって「あれ?今日火曜日?あれ水曜日の12時ってまさか…」と言う事で番組自体は見る事が出来ましたが途中から録画するのも悔しいので諦める事にしました。再々放送は…無い無い(^^; 昨夜は
水曜どうでしょうだけ見て和んでから寝ました。
さて次も宇宙関連で、私の
個人サイトにある
宇宙関連リンク集をリニューアル。HTMLを直接弄らなくても更新できるようにCGI化しました。ベースになったリンク集CGIは
これ。色々と改造しましたが、久しぶりのPerlなんでちと思い出すのに余計に時間が。年かなあ…orz 最近はすっかりPHPとかRubyとかJavaとかになってしまいましたね。
閑話休題。一応古い情報を再チェックするとリンク切れやURL変更がぞろぞろと。NASA系も結構アドレスは変更されます。なぜか
中国国家航天局のIPアドレスが取得できなくて接続が出来ないんですが…(^^; ドメイン自体は間違い無いはずなんですが何故?少し様子見ましょう。他に思ったのは日米共にベンチャーも頑張りつつあるなあと言う点と、日本は学生がずいぶん頑張ってきていると言う点です。今やっている学生達が中堅になる時代には何か変化があるかもと期待してしまいます。ネットを使って横の連絡も良さそうですがこれもネット時代ならではかも。頑張って下さい!
今年ももうお終いですが、来年は1月2月と日本のロケット打ち上げが続きます。H-2AとM-Vを合わせて3機が上がります。こんな事は日本ではもちろん初めてです。色々と遅れがあって重なってしまっただけと言う事でもありますが(^^;
1月19日(予備20~2月28日)/10:33~10:43/H-IIA・F8/陸域観測技術衛星ALOS
2月15日(予備16~28日)/15:30~16:40/H-IIA・F9/運輸多目的衛星新2号MTSAT-2
2月18日(予備16~28日)/6:00~7:00/M-V-8号機/赤外線天文衛星ASTRO-F
予備日程がどれも2月末までと…同じ日に打ち上げがある事は…まああり得ませんね(^^; ちなみにH-IIAの8号機と9号機はSRBとSSBが2本ずつのH2A2022と言うタイプ。加えて衛星フェアリングもつくしの頭のように膨らんで見える5S型なので、外見は全く同じです。ただ今後定例化するマークペイントが異なる程度のはず。
H-2A9号機のMTSAT-2は静止軌道を目指すので東方向へ、H-2A8号機のALOSは太陽同期準回帰軌道なのでほぼ真南方向への打ち上げとなります。目指す軌道が高度を除けばほぼ直行する軌道を目指すのでこうなります。見比べてみると面白いかもしれませんね。ちなみにM-V8号機で打ち上げられるASTRO-Fはまた異なった太陽同期極軌道を目指しますが打ち上げ方向はALOSと同じ真南方向になります。軌道に関しては
これや
これをご覧下さい。
ぜひとも3連続で成功して日本の宇宙開発のはずみをつけて欲しいです!ああ1月2月は九州や種子島に行きたいぞ!とJAXAサイトを見ていたら
JAXA産学官連携シンポジウム「宇宙ビジネスの未来、新たな提言」と言うものを1月17日に六本木ヒルズで行うとの事。宇宙ビジネス促進の為のようですね。ホリエモンも出るようで… 事前申し込み参加無料で500名を超えたら抽選だとか。面白そうなので申し込んでみました。抽選とかにならなきゃ良いのですが。さてうちの会社も宇宙ビジネスに取り組みますか。<やめれと言う声が聞こえてきそう(笑)
2005-12-14
何かが変わった予感! [by miyachi]
本日「はやぶさ」の運用についての
プレスリリースがありました。現在はコーニング運動(みそすりの首振り運動)に入ってしまい通信も途絶中との事。これを受けて運用は救出運用に変更され地球への帰還も2010年となりました。もちろんまだ諦めていないと言う事です。
そして
松浦さんのブログに記者会見の一問一答があります。心から感動しました。「はやぶさ」ミッションは素晴らしい成果をもたらしたと考えますが、最大の収穫は川口プロマネでは無いでしょうか。毅然とした態度と論理的な説明。胸を張って受け答えをしている様子が文章なのに目の前に浮かんできます。そして今回は記者の皆さんも明らかに態度が違う。例え記事にならなかったとしてもこれは大きな大きな収穫でしょう。
ここでは多くは語りません。宇宙開発に興味があればぜひ
この記者会見の内容を読むべきです。私が特に注目した部分だけ抜き出します。
「宇宙開発は過去、マスコミの監視の中、びくびくしながら、確実性の高いプロジェクトを実行してきた。しかし宇宙開発には、リスクを取っても先に進むということも必要なのではないか。高い塔を建ててそこへのぼってみれば新たな地平が見えるものだ。そのような塔を自ら建てるという意識を鼓舞したという点でははやぶさには意味があると考えている。」
このような事を言ってくれる人を待っていました。宇宙開発はまだビジネスにするのも難しいフロンティアへの挑戦です。リスクを恐れず多少の失敗があっても胸を張って「次はもっと成功して見せます。」と言って下さい!それに「はやぶさ」は既に世界で誰もやった事や行った事が無い事を幾つも達成しています。日本的な後ろ向きの減点法では無く、
前向きな加点法で見ましょう。
「はやぶさ」も「のぞみ」に続いて苦難の旅を続ける事になりました。だが遅くなりますが2010年には無事に帰還してくれることを心から祈ります。その為に運用の皆さんの苦労はまた筆舌に尽くしがたい内容になるのでしょう。松浦さんがきっと本にしてくれるとは思うのですが、願わくばブログ等で不定期でも構わないので現場の様子を知ることができたらなあと思います。
今現在、
毎日、
読売、
朝日の各紙でほぼ同じ内容の記事が出ている。どこにも「失敗」の2文字は無い。これって画期的?(^o^;;
2005-12-08
期待を裏切らないコメント(勘弁してよ…) [by miyachi]
苦闘を続けている「はやぶさ」。先日書いたようにトラブルの真っ最中だ。
ISASのリリースを受けてマスコミも記事を出している。
毎日:探査機はやぶさ:「成功」一転失敗 いったいどうしたの?
ところで上の記事最後に3人の宇宙関係者のコメントが載っている。3人とは松浦さんに実験惑星科学の土山氏に
NASAかぶれの似非宇宙アナリスト氏だ。松浦さんは既に小惑星にランデブーしているだけで快挙。土山氏は偉業。ただ1粒でもリターン出来れば研究できる。そして…
いや~期待にたがわず
「はやぶさという宇宙ロボットは、あまり出来の良くないロボットに見える。」とのお言葉。更に
「試料採取が目的のプロジェクトであれば、採取ができなければ全体の完成度としては低いと言わざるを得ない。」だそうで。
ちゃんと「はやぶさ」を打ち上げた時にプロマネの川口教授の記者会見の話を聞いていないで勝手なコメントを付けている事が明白。
過去にも書いたがもう一度川口プロマネの打ち上げ直後の言葉を。
「今回の探査機は大きく4つの新しい技術開発要素(イオンエンジンによる惑星間航行、重力が微少な小惑星への自立航法による接近、小惑星表面のサンプル採取、小型カプセルによるサンプル回収)があり、それらが時系列に直列にならんでいる。そのどれが成功しても大きな成果だ。だから成功かどうかについては、加点法で考えて欲しい。全体は500点で、打ち上げ後に3週間目にイオンエンジンが無事に稼働したならば、その時点で100点と考えて欲しい。」
この話を知っていてあのようなコメントを出したのだとしたら大したものだが、彼の過去の他の件での発言でもそうだったが「今」しか見ないで「全体」を見る事も「前提」を見る事もしないで出したコメントであろう。
価値観はそれぞれだし私が宇宙開発オタだからかもしれません。だが技術者として間違っていると思うコメントには反論をしておきたかったのでこのブログを書く。大人気無いがたとえ小さくても発言する事が大事だと思います。
でもまあ今回の記事はちゃんと松浦さん他のコメントも載っているのでまだ良い方でしょう。そうで無ければもっとキツい書き方していたと思います(^^;
最後に今回大活躍の
松浦さんのブログへリンク。「はやぶさ」チームの苦闘と知恵と勇気と実行力を見る事が出来ます。変な輩がコメント欄を汚しているがこういうのはスルーが基本ですね。
2005-12-07
昨夜の
TV東京「ガイアの夜明け」は、
「2005年 宇宙への旅 ~未来の100兆円市場に賭けろ~」だった。もちろんDVD録画!NHKなら再放送も期待できるがTV東京だと再放送はまず望めませんからねえ(^^;
前半は米国のベンチャーロケット会社を中心としていたが、さすが
日経だけあってビジネス面で投資家との絡みのストーリー。これはこれで新鮮で面白い。
XCOR社は技術者による技術優先のベンチャー。何か人事とは思えません(^^; それに対して「技術より金」の
ロケットプレーン社はITベンチャー的かも。必要な技術は金で買えるものは買う方針のようだ。最後には金だと言い切る副社長は切れ者に見えます。どちらも頑張って欲しいですね。
これまで本では色々と宇宙ベンチャーの話は読んだがやはり映像で見るのも楽しい。その後は日本の話題で出ました
「CAMUIロケット」。推力を向上させればロケットプレーン社が採用してくれそうとの話。いや日本も頑張ってます。
そして
JTBと
スペース・アドベンチャーズ社の話になる。う~む22億の宇宙ステーション1週間の旅をIT成金以外でも検討している人がいるんですね。なんてうらやましい(笑) それにしてもJTBは26億円のコミットをスペース・アドベンチャーズ社にしたのかな?まあ22億の人が決まればそれだけでほぼ達成でしょうけど。でも時代は着実に動きつつありますね。
と言うことで結構楽しめた番組でした。こんな番組を他局でもぜひやって欲しいものです。
宇宙つながりで「はやぶさ」情報が。
状況に関するリリースが出ています。当初考えられていたよりも深刻なトラブルのようです。ただイオンエンジン運転用のキセノンガスの噴射による姿勢制御法に変更して多少好転しているようですが、やりますねえ!どんな状況でも代替手段を見つけるのはテストパイロットでも同じ(とイエーガーの自伝にあった)ですが、何としてでも帰還して欲しいものです。システム自体もリセットがされてしまったようですが、プロジェクタイル(弾丸)が発射されたデータが確認できないようです。リセットされた為だと思いたいです。後は帰還を祈るばかりです!頑張れ!
2005-12-01
クローズアップ現代 [by miyachi]
NHK
クローズアップ現代の
11月30日放送は「「はやぶさ」は舞い降りた」でした。平日夜7時半からの放送なんだもの…最初の数分は見逃してしまったしビデオ撮りも失敗するし、でも見ておくかと見ていたら
松浦さん登場!おぉ!良くTVに出てくるNASA信仰の
似非宇宙解説者なんかを出すよりもよっぽど良いぞ。似非の方だったら最後に現状で制御不能になっている事に関しても
後知恵で「最初から○○しときゃ良かったんです。」とか言いそうだし。「のぞみ」の時も「M-Vなんかで打ち上げるから駄目なんです。H-IIで打ち上げておけばこんな事には…」とか言っていたし。まあそれはさておき閑話休題。
ターゲットマーカを作った町工場の話もあり(ちとプロジェクトX風だったが…)、やたらと世界初にこだわっていた気もした(いやこれはこれでまっとうな評価ですよもちろん!)が、それなりに良くまとめられていたようには思います。ターゲットマーカの話があったんだから「星の王子様プロジェクト」にも触れて欲しかった気はしましたが。
松浦さんTV慣れされて無い様子でしたがしっかりと言いたい事は言われたように思います。最後の方で「これで日本も世界トップクラスですね!?」との問いに「米国は今現在も宇宙探査機を10機運用していますし、まだまだです。でもその入り口には立ったと言えるでしょう。」みたいな(文言は記憶に頼っているので不正確)話が印象に残りました。そう米国は毎年JPLが何らかの成果を発表していますが、日本は良くて数年おきです。でも数年おきで良いから宇宙探査を続けて欲しいなあ。
JAXAサイトをチェックすると「はやぶさ」情報は新着ありません。それにトップページの扱いもピークを過ぎたので小さくなりました。新たなニュースとしては
陸域観測技術衛星「ALOS」の
H-2A(8号機)打ち上げが来年の1月19日(木)になったとのお知らせが。トラブルで遅れていましたがやっと日程が決まりました。年度内にはもう1機のH-2Aが運輸多目的衛星2号機「MTSAT-2」搭載で上がる
予定です。来年は早々から楽しめそうです。連続成功して「はやぶさ」で盛り上がった良いイメージを強めてくれる事を祈りましょう。