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2005-11-30
「はやぶさ」一難去って… [by miyachi]
「はやぶさ」のスラスタは2系統あるAとBが両方共トラブルを抱えているようです。詳細は
JAXA発表と
松浦さんのブログにて。一見異なる現象に見える2系統のトラブルですが宇宙開発では1つのトラブルが複数の結果になる事もあるそうで調査が待たれますね。ヒーターの利用を含めてまだ色々な手段もありそうです。最後は火星探査機「のぞみ」の時に培った1ビット通信によっての制御も考えているとの事。ノウハウの蓄積があると対処方法にも幅が出ますね。運用に携わる皆さんは学生さんだったり先生方だったりと専門家では無いケースも多く、色々大変だとは思いますが身体に無理が無い程度で頑張って下さい!誰か倒れても喜ぶのはプロジェクトXくらいでしょうし…ってあの番組ももうすぐ終わるのか…最近見て無いけど…(^^;
それにしてもNASAのDSN(ディープ・スペース・ネットワーク)に頼らねばならない現状は色々ともどかしいです。せめてもう1カ所くらいは海外にパラボラを設置できると良いのですが…「はやぶさ」も何とか無事に…と願うばかりです。
さて画像はJAXAサイトからコピーした「はやぶさ」の現在位置です。ご覧のように太陽を挟んだ地球のちょうど反対側で作業です。地球への帰還もせいぜい月軌道程度までしか接近しないようです。帰還が遅れるとサンプルカプセルが耐えねばならぬ温度も上昇するとのこと。ここまで来たら最後まで…
プロジェクトXと同じ火曜日夜10時からTV東京で放送されている
「ガイアの夜明け」を見ていたら、来週は
「宇宙ビジネス」がテーマらしい。これはビデオ(DVD)撮りせねば!「ガイアの夜明け」は誰も死なないし入院しないしビジネスも成功したり失敗したりと公平に取材しているように感じていて好感度高いので期待してます!
2005-11-26
祝:「はやぶさ」午前7時7分接地成功j! [by miyachi]
毎日:
はやぶさ:歓喜のJAXA管制室「やったー」
読売:
はやぶさ、イトカワ再着陸…岩石採取装置も作動
朝日:
はやぶさ、2度目の着陸に成功 試料採取もほぼ確実
と言う事で各紙大きく取り上げてますが2度目(リハーサル入れると4度目)にして成功です!次々に問題点を明確化して解決していたので今度は成功の可能性が高いと思ってました!おめでとう!
ただその後でスラスタのトラブルが生じているようです。詳しくは例によって
松浦さんのブログで。不調なのが1つなら他のスラスタで補間可能との事です。原因究明されるまで待ちましょう!
[2005-11-28追記]
やはりスラスタの1つにリークが発生している様子です。接近中に予兆があったので接地にはバックアップ系統を使用したが、接地後に主系統に戻したところリークを生じて姿勢を崩したとのこと。地上からの指示でバルブを閉じたが現在セーフモードに入っており3日程復旧にかかるようです。でもまぁここまで来たらこの程度のトラブルは解決してくれるのでは無いかと考えます。そしていよいよ地球に向けての帰還準備ですね!
2005-11-24
祝:「はやぶさ」着地してました [by miyachi]
Jaxaサイトに
「「はやぶさ」の第1回着陸飛行の結果と今後の計画について」がアップされている。もちろん
松浦さんのブログでは
速報も流れていたが、
接地していないと思われていた「はやぶさ」がデータ解析の結果から30分にわたり着地して事が判明したとの事。その後地球からのコマンドで自力で離床していたようだ。サンプル採取だけは起動しなかったようですが、日本で作られた衛星が太陽を挟んで反対側にある小惑星に着地したのですからこれは
お祝いをせねばなりません!関係者の皆さんおめでとうございました!
今回の問題は「米国航空宇宙局(NASA)の深宇宙局(DSN) から臼田局への切り替えの間であったため」に検地できなかったとのことです。なお月以外の天体への着陸と離陸成功は
世界初とのこと。この調子で2回目の接地ではぜひサンプル採取に成功して欲しいと祈りましょう。もっともサンプル採取に成功したかどうかは地球に戻ったカプセルを開けるまでは分からないそうですが(^^;
上の画像は「はやぶさ」から分離したターゲットマーカだそうです。フラッシュランプを照射した状態としない状態の画像を比較してターゲットマーカだけが抽出されるような画像処理が
機上で行われた結果だそうです。それにしても「はやぶさ」本体の影も結構鮮明に写ってますね。
2005-11-21
それを接地とは言いたくない [by miyachi]
今日も
「はやぶさ」の話題から。昨日は時々パソコンを付けて
松浦さんのブログとかをチェックしてました。一時は「はやぶさ」と通信が出来なくて緊迫した状況もありましたが、どうやら本体は無事のようで一安心です。
更に88万人分の名前(我が家4人の名前も含まれる)が入ったターゲットマーカもどうやら高度40mくらいで放出されたとの事で、無事に「イトカワ」に到着したようです。まず1つ得点加算ですね。問題はその後の着地とサンプル収集はどうも駄目だったようです。残念!ただし「着地」は駄目でも「接触」はしたかもしれないようです。接触して向きが変わった可能性もあるようで。ただしISASの川口プロマネは記者会見で、
川口プロマネ:「どこかが接触したとしても、私としてはそれを接地とは言いたくない。」
う~ん
漢です!それにまだ終わった訳ではありません。時間的燃料的にもう1回は挑戦できそうな予定だからです。しかも接近の度に状況は少しずつ改善されていますし、何とか次回こそは!次回は25日頃の予定です。また週末になりそうですね。ただ状況いかんではもう少し後かも。あと今回の結果に関しても詳細なデータと分析が近いうちに出るはず。そちらも楽しみに待ちましょう。
今回の件に関してはマスコミはそれほど「失敗!」と書き立てていない気がします。科学ミッションであるしどれほど困難な事に挑戦をしているのかがある程度は広報の結果伝わったのかな?だと良いのですが… それとも単に「○○○億円が無駄に!」と書けない状況だから騒いでないだけ?
そう日本の単独ミッションでこれまでの成果だけでも充分世界に誇れる結果を出しています。これ程ソフトなアプローチは昨日のニュースでも川口プロマネが言っていましたが有人であっても使えるノウハウでしょう。これからはNASAに頼らないで独自ノウハウの積み重ねをして行く事こそがJAXAに必要な事なのでは無いかと、外から見ている無責任なマニアとしては思うのでした(^^;;
[お昼休み追記]
TPS/Jメール臨時号が配信されてきた。「星の王子さま」登録者向けのお祝いと報告のメッセージだ。昨日の出来事が分かりやすく開設してあります。結局は時間がかかりすぎて100℃以上であぶられ続けた点が最大の問題だったようです。イトカワ表面は高温なんですね。ああこのような生々しい状況を映像でも見たい!NHKくらいは特番組んでくれても良い気がしますがいかがでしょう?
2005-11-18
陸域観測技術衛星「ALOS」と情報収集衛星「IGS」 [by miyachi]
「はやぶさ」が今最高に盛り上がっているところだが、来年早々に打ち上げ予定のH-2Aの8号機で打ち上げられる
陸域観測技術衛星「ALOS」の話題もぼちぼち出始めた。例えば
「エコマーク:H2Aロケット8号機に表示」なんかがそうだ。これはALOSが環境保全に役立つと言う事でエコマークの表示が認められたと言う記事だ。H-2Aは液酸液水のエンジン利用と言う意味でもエコなロケットだし良いかも。
さてそんなエコな衛星であるALOSだが、実は実質偵察衛星である情報収集衛星ことIGSとは深い関わりがある衛星だ。IGSに搭載されているセンサはALOSに搭載されているセンサをベースに開発されたからだ。現在のIGSには3つのセンサが搭載されている。
OPS-Pパンクロマチックセンサ:ALOSのPRISMをベースに性能向上
OPS-Mマルチスペクトルセンサ:ALOSのAVNIR-IIをほぼそのまま
SAR合成開口レーダ:ALOSのPALSARをベースに性能向上
それぞれALOSのセンサをほぼそのままか性能向上したものだ。これはIGSとALOSが目的は違うが利用する手段はどちらも地表の情報を集めると言う事で共通だからだ。もちろん運用も異なる。ALOSは1機に全てのセンサを付けた巨大な衛星だし、IGSは光学センサ型とレーダ搭載型の2種類でかつ本来は4機体制で頻繁に撮影が可能な運用がなされる。
また当初は2002年だったALOSの打ち上げがここまで遅れたのはやはり割り込んで来たIGSの影響があると見るのが普通であろう。IGSの最初の2機は2003年に上がっている。
ALOSの文字を見てこのような事を考えるのも、IGSの時に3DCGを作ったりしていた関係もあったりする。情報収集衛星に関してはその時に色々と考察や推測をしているので興味がある方は
こちらを見て欲しい。
IGSは運用面での懸念があったが松浦さんの記事などを見ると予感が的中しているようだ。だが何事も始めなければノウハウは手に入らない。その意味ではぜひ頑張って欲しいものです。ALOSは色々な意味で実用になる衛星でしょう。来年の打ち上げ成功を祈っています!
[追伸] 今日の夕方に某宇宙開発サイトのS氏が事務所に遊びに来る予定(^-^)/
2005-11-14
はやぶさとミネルバ放出 [by miyachi]
前回のリハーサルでの不具合により再スケジュールされた再リハーサルがこの週末にあった。最新情報はもちろん
松浦さんのブログや、
Hayabusa Live Blog の方で見ればバッチリでしょう。どちらも臨場感溢れた記事ばかりで時々チェックしてました。特に松浦さんのブログはもちろん記者として読者を意識した内容になっているのでまた現場のブログと違った面白さが満載されていて楽しいです。
その松浦さんのブログでも
昨日の「はやぶさから撮影したミネルヴァ」はJaxaのサイトに行っても元ネタの画像や記事が見つからなかった(あるのかもしれないが…)のですが、素晴らしいです。太陽方向から近づく為にはやぶさ自身の影がイトカワに落ちている画像も多数発表されていますが、これもまた素晴らしい!私の記憶では同じように宇宙機の影が映っていたのは
アポロの月面着陸以外では記憶に無いのですが、他にもあったのかな? 私の記憶が正しければアポロ以来の快挙でしょう。研究には何の役にも立たないとは思いますが新聞各紙にはこの画像が使われた記事が出ていたので、広報価値は計り知れないのでは無いかと思います。
海外の宇宙探査だと先日の
ディープインパクトなんかは、物体をぶつけて探査するような米国らしい豪快な探査が多いように思います。それに比べると付近に滞宙しつつ何度も接近して探査するはやぶさは、繊細な日本人的な探査機とも言えるかもしれません。
今日のはやぶさページは今回のミッションを確認する良い情報が満載でした。まずイトカワの位置ですが太陽を挟んでほぼ反対側です。各詳細ミッションの達成度もあります。現在は200点ですね。
閑話休題。再リハーサルの結果ですが、無事に
55mまで接近できたようです。55mと言えば宇宙空間を考えると物凄い近距離です。凄い! ただミネルバは現状ではイトカワ地表には到達していない様子で、地表到達は難しいかもしれないとの事。少し残念です。ただ先のミッション達成度の中にはミネルバによる探査は含まれていません。これは
「おまけ」ミッションであると言う事でしょう。まだ結果を出すのも少し早いようですので、ミネルバも最後まで諦めずに朗報を待ちたいものです。
ところで前回のリハーサルの不具合は、
1) 降下位置を判定するソフトウェア不具合
2) ホイールが2つ無い事に関するハードウェア的制限
3) ホイールの替わりに使うジェット制御のソフトウェア不具合
のいずれかか、複合したものであろうと個人的に予想していましたが、だいたい
合っていたようです。こういう予想も個人的には楽しみの1つだったりして(^^;; <悪趣味?
なんにせよ「はやぶさ」もこれからが本番です。19日(土)の1回目の試料採取と署名入りターゲットまーかの放出、25日(金)の2回目の試料採取のどちらかには成功して、無事に帰還の途についてくれる事を祈りましょう!
2005-11-04
はやぶさのリハーサルは延期 [by miyachi]
ニュースでは「GO/NOGO判断時に中止」としか出ていなかったのですが、もう少し
詳しい情報がJAXAのサイトにアップされていました。
高度約700m付近まで接近した段階での自律航法機能の航法誤差が許容値を逸脱したとの事でNOGOになったとの事です。
う~ん惜しい!あと少しでした。やはりここは無理をするよりはじっくりとトライした方が良いでしょう。今後のスケジュールは再設定されるようです。関係者の皆さんは大変でしょうが頑張って下さい!
[追記] さすがに松浦さんの情報が早い!
SACのBBSで速報あり。
2005-11-02
はやぶさの記事が続々と [by miyachi]
昨日の
ISASメールマガジン第061号に、
「本日(11月1日)夕方、「はやぶさ」のプレスリリースがあります。注目してお待ちください。」
とのコメントがあり、楽しみにしていました。サンプル採取の日が近づいた事もあり、色々とまとめて発表されたようです。詳しくは
ISASの記事と、松浦さんのブログの、
その1、
その2、
質疑応答からどうぞ。
「はやぶさ」がやっている事はNASAのJPLがやっている事と比較しても同じくらい
画期的で凄い事をやっている。日本のマスコミももっと取り上げても良い。今回は
色々な情報がISASから発表されている。サンプル採取が終わったらぜひともTVで特番を組んで欲しいものです。
TVと言えば
TV@ISASなんてサイトがあったんだ!QuickTimeで配信と言う辺りがなんからしくて良いです(笑)もうちょいブロードバンド回線向けに高解像度版も欲しいですが、贅沢は言わないで楽しみましょう(^-^)/
「僕らは星のかけら~原子をつくった魔法の炉を探して~」を読了。面白かったのでブログネタに。カテゴリー的には宇宙開発では無いのだが、宇宙も関係あるって事で。
この本は
歴史本です。ただし原子や元素の起源の探求に関して古代ギリシャの原子の概念から始まって、最後は現代宇宙論までの思考の経緯が、それに関わった科学者達の経験を通して順番に理解が出来るようになっています。1つの謎が解決すると新たな謎が出てくる。推理小説を読むような展開で思わず夢中になって読んでしまいました。
核融合と核分裂でエネルギーが出てくる理由も、なぜ鉄を中心とした安定した元素があるかも、それぞれの元素が何時何処で生成されたのかも、全て読めば理解できます。数式は少なく初心者でも取っ付きやすいのでは無いかと思います。
元素の探求なのに宇宙が重大な役割を果たしています。宇宙から得られた知識で理論物理学が進展し、理論物理学が考え出した知識で天文学が進展して行く姿も感動的です。最後に私自身を作っている元素が、ビックバンや赤色巨星や超新星爆発で生まれた物である事を示してこの本は終わります。でもまだ解明されていない謎もあるとの事。なんだかワクワクしませんか?