2005-10-28

はやぶさのサンプル採取日程決定!  [by miyachi]

以前に心配していたが、どうやら「はやぶさ」のリアクションホイール故障に伴う燃料不足の心配は無さそうな発表があった。

「新規に導入した制御策により、微小なジェットの噴射を精度よく管理して加える方法にめどがつき、帰還までに必要な量を確保できることが確認できました。」

既に軌道上の試験も完了しているそうで、まずは一安心ですね。トラブルがあっても何とか切り抜ける関係者の皆さんの努力と勇気に拍手を送りましょう!良かった良かった(^-^)/

同じ発表ではサンプル採取の日程も決定されたとのもう1つのうれしいニュースが。サンプル採取はリハーサルも入れて3回。リハーサルでは「星の王子様キャンペーン」の88万人分の名前を入れたターゲットマーカが投下されます。我が家も一家4人分の名前が入ってますから楽しみです。更にリハーサルの時にはミニロボットのミネルバも投下されるとの事。このリハーサルが11月4日(金)の予定。

続いて1回目が11月12日(土)に、2回目が11月25日(金)に行われるとのこと。無事サンプルの採集に成功するでしょうか!?ミネルバの活躍は!?続報を待ちましょう!

松浦さんの辛口コラムの新シリーズ「実体は劣化した「アポロ」、米国の有人月探査計画」も完結。第1回第2回第3回と続けてお読み下さい。現在のスペースシャトル関連企業を守る為にも既存のエンジンや技術を使わねばならないと言うのは分かる気もするが、やはり危険性のアップや無駄に繋がりそうにも思える。その中で少しでも新しい技術を言うチャレンジ精神も分かる気がするが、やはり少し無謀か?しかしながら過去を見ても無謀があったからその次に妥当な設計が出来る事もあるとは思う。この辺りは結局は結果次第だろう。スペースシャトルの二の舞だけにはならないで欲しいものです。またJAXAもそろそろNASAとの付き合い方を再考すべきでしょう。ロシアや欧州それに中国辺りに徐々にでも近づいてみてはどうかと個人的には考えているが…

JAXA以外のところでの日本の宇宙開発も進んでいる。先日読了したキューブサットは、2機目のXI-V(サイ・ファイブ)が打ち上げ成功して既に初期運用フェーズに入っているようだ。凄いぞ!おめでとうございます! 更に松浦さんのブログによると、東海大学がハイブリッドロケットの開発を企業回りをした資金でおこなっているそうだ。詳しくはこちら。おぉ!打ち上げも成功しているんだ! 北海道大学のカムイロケットもあるし、確かに大学を中心に宇宙開発の新しい芽が生まれつつあるようにも思える。ここから更にベンチャー企業として飛躍する人達も出るのでは無いかと密かに期待しています!頑張れ~!

[2005-10-31追記]
松浦さんがブログで、

 宇宙開発に興味のあるホームページ、日記、ブログなどの運営者の方にお願い;よろしければ、皆さんのページでも随時「はやぶさ最新情報」へのリンクを掲載していただけないでしょうか。慢性人手不足である日本の宇宙科学の広報を草の根で支援すると同時に、情報公開を外から促すという意義があるかと思います。

と書かれている。賛成です!一応ささやかながら私も以前から少しは書いてきましたが、これからも書いて行こうと思います。ってまた宇宙開発ネタばかりブログに書くつもりかい(笑)
2005-10-28 18:13:23 - miyachi - - [宇宙開発] -

2005-10-18

はやぶさの現状とかニュースとか  [by miyachi]

「プログラマの日記」と言うブログなのに「宇宙開発ネタ」ばかりでどうかとも思うが(いや思ってはいるんですよ(^^;)今日も宇宙ネタ(爆)

まず小惑星イトカワに到着している「はやぶさ」の現状から。少し古いネタだが、既に故障していたX軸のリアクションホイールに続いてY軸のリアクションホイールも故障してしまったようだ。残るのはZ軸のリアクションホイールのみである。このリアクションホイールと言うのは地球独楽と同じで回転する円盤のトルクで姿勢制御をおこなうものだ。以前ISASの一般公開でデカイ地球独楽を持ったまま回転椅子に座って回してみると元に戻そうとする力が出る実験をやっていた。この理屈を使うと回転する円盤だけで姿勢が制御出来るので太陽電池等で電源確保されていれば良い。

リアクションホイールを使わない方法としてはスラスタの噴射による姿勢制御方法もあるが、これは燃料を消費してしまう点が問題となる。現在の「はやぶさ」は2軸分の姿勢制御をこのスラスタに頼っているようだ。短期的にはこれで問題無くミッションを継続できるようだ。問題は長期的になった時に燃料が足りるかどうかとなる。ミッションとしては地球帰還時に影響が出るかもしれない。どれだけ燃料に余分があったかとどれだけ燃料を節約できるかに「はやぶさ」が地球に無事戻れるかどうかの分かれ目になりそうだ。

でもまあその前に来月にも予定されているタッチダウンとサンプル採取のミッションが楽しみです。「のぞみ」の時にも最後まで諦めない努力がありました。「はやぶさ」もまだまだ波乱があるかもしれませんが無事サンプルリターンを達成してくれることを祈ります。

ちなみに姿勢制御の方法としては衛星全体をスピンして安定させる方法もあるが「はやぶさ」は太陽電池パドルを展開している衛星なのでそれは無理でしょうね。

さて他に失礼ながら笑ってしまったニュースとして「きぼう:早期打ち上げ要請 小泉・文科政務官」がある。いや気持ちは良く判りますが、早期に打ち上げてもどれだけまともに運用できるか、また運用コストに見合うだけのメリットがあるのかをまずはきちんと把握して欲しいです。トップとしては「せっかく作ったものを無駄にしてはいけない」と言うことなんでしょうが(^^;;

神舟6号は「中国:有人宇宙船「神舟6号」が帰還 飛行時間、前回の5倍」とのこと。飛行時間は115時間32分ですし前回同様に機械船を軌道上に残して実験は続けているようです。小泉首相の靖国参拝はこの記事があって目立たない事を計算に入れていたとの松浦さんの意見が宇宙開発史掲示板に。なるほどそういう見方もあるか。ちなみに個人的には靖国参拝はつまらんこだわりだなと思う。気持ちがあれば靖国に行かなくても良いだろうし、単なるパフォーマンスや意地にしか見えません(^^;

まだまだ宇宙ニュースがある。「ライブドア 宇宙旅行プランを発表 堀江社長」ではホリエモンがロシアと組んで将来はサリュートを打ち上げて宇宙ホテルにするとか。はいはい頑張ってね。でもカプセルもサリュートも古いものだけど大丈夫なんかなぁ… 新しいから安全とも限らないが古いものをそのまま使うのは問題あるような。

さらに宇宙服の話題が2つ。「宇宙服 旅行企画の米企業が、日本でデザインを募集」「未来の宇宙ドレス?」だ。どちらも16日から福岡で開催されている国際宇宙会議「IAC2005」での発表だそうで。このようなロケット打ち上げや惑星探査以外の宇宙開発の話題が増えるのは一般の認知度の面では良いことですね。宇宙ビジネスが本格化するのは意外に近いか?その意味でもホリエモンにはこの分野では頑張って欲しいところです(^o^;;
2005-10-18 12:44:54 - miyachi - - [宇宙開発] -

2005-10-17

キューブサット物語  [by miyachi]

「キューブサット物語」を読了したので感想でも。この本は東大と東工大の研究室の学生が本当に衛星軌道にのる小さな衛星を作り上げて運用するまでのお話。以前に読了した「上がれ! 空き缶衛星」の続編にもなる。

空き缶衛星ことCanSatは衛星の仕組みを学ぶ為に空き缶サイズの衛星(厳密には衛星では無いが機能は同じ)をアマチュアのモデルロケットに搭載して打ち上げるものだった。最近では北海道のCAMUI(カムイ)型ハイブリッドロケットでもCanSatの打ち上げは行われているらしい。

今回はその上のクラスとして10cm四方で1KgのCubeSat(キューブサット)を開発して本当に宇宙に打ち上げてしまおうと言うプロジェクトの記録だ。難易度はCanSatの比では無いはずだし、打ち上げロケットをめぐって二転三転する様子はとても大変そう。でも学生達の熱意が良く伝わってきた。心底羨ましい(笑) 「上がれ! 空き缶衛星」では読後に物足りなさを少し感じたが今回の「キューブサット物語」は打ち上げまでじっくりと書き込まれていて結構読み応えもあった。

と言う事で感想と言っても実はCanSatと同じで生き生きとした学生達の苦悩と熱意を追体験できる点では全く同じ。エンジニアなら誰でも読み終わるとなんだかやる気が出てくる本である。彼らのプロジェクトに比べればささやかだし注目をあびないがうちにもプロジェクトはある。私はプログラマだから物作りと言ってもソフト開発になるが、今開発しているソフトを無事に世に出してやりたいと考えている。その為のやる気をこの本の学生の皆さんから少し貰って私も頑張りましょう!と言う事でエンジニアの皆さんには良書だと思います。ぜひ!

[2005-10-31追記]
松浦さんのブログ「東大Cubesat XI-V成功の場に立ち会う」で読み終わったらカバーを外してみましょうと書いてあった。早速外してみると…おお!これは良いアイデアだ。ふ~んなるほど。と言う訳で書籍お持ちの皆さんはカバーを外してみましょう!なお上記ブログは2機目の打ち上げ時の状況が分かるのでこの本を読み終わった人はぜひご覧ください!
2005-10-17 12:21:52 - miyachi - - [宇宙開発] -

2005-10-14

独力でやる事の大変さ  [by miyachi]

しつこく中国宇宙開発の話。いやホントにネット界では中国宇宙開発を馬鹿にした発言ばかりで目を覆いたくなります(T-T) 相手の力量をきちんと把握出来るようになっておかないと痛い目にあうのは最後はこちらなんですけどね。ソフト開発の世界でもしかり。

さて今日のお題は「独力でやる事の大変さ」である。中国宇宙開発はどこの国とも連携せずに独力でやっている。かつてはソ連との技術交流はあったと予想されるが現在はロシアとは切れている状態のようだ。これに関する最大のデメリットは何か。通信系の確保である。通常日本なんかだと衛星を打ち上げてもサンチャゴ局だったりと世界の他の宇宙開発機関やNASAの援助を受けて24時間衛星との通信が確保可能である。

が中国は独力だ。ではどうするか。通信専用の巨大なパラボラアンテナを幾つも持った2万トン以上の「遠望」宇宙観測船を1~4号まで4隻も持っている。固定としては北京・青島・パキスタンのカラキ・ケニアのナミビアスとマリンディスにもステーションを有しており、これに遠望1号を太平洋、2号を太平洋南部、3号をインド洋、4号を大西洋に配置して、独力で通信ネットワークを実現してしまう(写真上)。くだん書房で入手した中国宇宙開発のDVD「飛天夢国」では遠望4隻が堂々と並んで航行しているシーン(写真下)もありやる気をヒシヒシと感じてしまう。神舟6号が宇宙にある今現在もこの配置で4隻は任務に付いている事でしょう。

この一件からも分かるように中国の宇宙開発は地道かつ全て独力でおこなわれている。この実力は相当な物だと認識すべきであろう。この実力を持ってして今後も独力で宇宙開発を進めて行くのか、それともこの実力を認めさせて国際協力の道を歩むのか。今後も注目していく必要はあるだろう。願わくば後者の道を選択して欲しいとは思いますが(^^;

日本の宇宙開発においてもH-IIの時に海外の技術に頼らない100%国産で苦労をしたがそれはH-IIAで意味を持った。ロケット開発だけでは無く色々な意味で独立心を持って宇宙開発に挑む姿勢が日本には必要なようにも思う。言うのは簡単、部外者だから言えるよな。と言う批判を受けるのは当然ではある。一人の日本国民としての願いであると理解…して貰えると嬉しいな(^o^;
2005-10-14 13:00:02 - miyachi - - [宇宙開発] -

2005-10-13

祝:中国有人打ち上げ2回目成功  [by miyachi]

あちこちのニュースやブログで昨日中国で打ち上げられた神舟6号の話題が。ただしスラドをはじめとして「あの中国が」みたいな論調が多い。なのであえてタイトルには「祝」を付けた。もちろん日本人ではあるので日本の宇宙開発に関しては言いたい事も山ほどあるが、他国の成功くらいは素直に認めて何が良かったのか参考にすべきだと思う。

毎日新聞社説では「社説:中国有人飛行 平和利用の指針を明確に」とあるが、日本だって情報収集衛星と言う名称の軍事偵察衛星を保有しているし、米国に至っては最初から軍事目的を持って宇宙開発をしている。出来れば平和利用に限って欲しい気持ちはあるが世の中そうはいかんでしょう。

さて中国で有人宇宙飛行が出来てなぜ日本で出来ないのか。それはビジョンの違いもあるだろうし、JAXAがやっている事が最後は研究レベルに留まっているとも言えるのでは無いだろうか。中国のやった事は米ソ(露)のやった事の焼き直しに過ぎないと言う意見も目にする。そうかもしれない。が、だから駄目だと言う事では無いだろう。宇宙開発を宇宙に行く為の単なる手段と考えれば過去の実績で優れた部分はそのまま利用すれば良い。何も液酸液水2段燃焼のエンジンは必要無いのだ。宇宙に行ってから何をするのか(中国は軍事もあるかもしれないが)、が大事であるようにも思う。

ただ過去の焼き直しではJAXAの場合には予算が下りないだろう事は容易に予想が付く。宇宙に行って何をするのか?何の為に宇宙に行くのか?が明確にならないと国は動かない。軍事目的であれ目標がある国は強い。また宇宙は次のフロンティアかもしれない。ただし今の時点で自信を持ち「XXXだから宇宙へ行く」と他人を説得できる人は日本にはいない。いたらぜひJAXAに入って欲しいくらいです(笑) 「何の為に」まずはこれが必要なのだろう。「宇宙を平和利用する為に」じゃ駄目かなあ…やっぱり弱いよなあ…

いずれにせよ中国宇宙開発の内容を見ると、現実的な対応ばかりです。技術者としてはとても参考になります。1台の万能高級車よりも10台の汎用車の方が実用的なのかもしれません。

[追記] なんて事を書いていたら松浦さんもネット上の意見に対してブログで反論されている。基本的には私がスラドに書いた事をもっと詳しく的確に説明されている。必読でしょう!あとdokuさんも似た感想をブログに。皆さん同じようにネット上での今回の打ち上げに対する反応に異論があるようで(笑)トラックバックしとくかな…

関係ありませんが最近は宇宙開発の話題が多くて少し嬉しかったりします。「露宇宙庁:4人目の宇宙観光客、日本人実業家が候補に」では予想通り元ライブドア取締役の榎本氏がいよいよ宇宙へとの話題。う~むええなあ(笑) 同じライブドアでも「堀江貴文氏:今度は「宇宙旅行」 ビジネス化に意欲満々」の記事も(^^; まあ頑張ってください。「JAXA:次世代超音速機の飛行実験に成功」は失敗に終わった1回目と違って見事にリベンジを果たしたSST実験機。良かったですねぇ!NAL時代から実機を作っていないと言われ続けていましたが、ぜひ今後も実機を作って試験も続けて欲しいです。SSTの是非に関してはまあ色々ありますが…
2005-10-13 13:12:42 - miyachi - - [宇宙開発] -